第7回日仏自治体交流会議

第7回日仏自治体交流会議がエクサンプロヴァンス市で開催されます。2022年10月3日から6日まで日本とフランスの自治体代表者たちがエクサンプロヴァンスのコングレスセンターに集い、イノベーションというテーマの下、両自治体の実践経験を踏まえて、持続可能な開発及びコロナウイルスの影響を受けた社会における包摂性について意見を交換します。

2008年にナンシーで初めて開催された本会議は、160年以上に渡る両国間の強い絆の証とも言えます。フランス側からはヨーロッパ・外務省、日本側からは総務省及び外務省の協力を得て、本会議は2年毎に日仏交互で開催されています。

両国間の密接な協力体制を反映するとともに、持続可能な経済の探求の一環でもある本会議は開催都市ひいてはフランス全体の魅力を日本の意思決定者に強く印象付け、さらに広めることを目指しています。66の市町村、県及び州が姉妹提携または交流協定を締結しており、今日では70を超える地方分権型協力事業が日仏両国の自治体で実施されています。この親密な関係により交通、都市整備及び持続可能な開発などの具体的な共通課題に協力して取り組むことができます。

フランスと日本の自治体の紹介資料

エクサンプロヴァンス市長からの
ごあいさつ

エクサンプロヴァンス市は日本、特に熊本市との強い友好・協力関係を維持しています。2つの都市には、芸術と水の都市であり、イノベーションに向けて取り組むという共通点があります。約30年前の能楽師狩野丹秀氏による能舞台の寄贈により協力関係の土台が築かれ、2013年に交流都市協定が交わされました。

それは、160年以上に渡って両国を結びつけてきたような、様々な分野でのダイナミックな関係です。さらに、日本とフランスは、2013年以来の「特別なパートナーシップ」を、2019年6月のG20大阪サミット前に採択された日仏協力のロードマップ2019~2023へと発展させました。日仏間のこの強固な友好関係により、我々の友好都市である熊本の地で開かれた前回の会議から延期の期間を経て、いよいよ第7回日仏自治体交流会議を開催できることを大変喜ばしく思っています。

この2年間は特に困難な道のりが続き、新型コロナウイルス感染症の大流行によって、本会議は2022年への開催延期を余儀なくされました。エクサンプロヴァンス市は、200人以上の日本及びフランスの行政関係者が一同に会する本イベントを迎えられたことを非常に光栄に思います。

世界は変わりました。これまで以上に、地方分権型協力は我々の友好関係を強化し、更新していくという基本的な必要性に応えつつ、この友好関係の中心になければなりません。我々が経験した国際的な衛生状況は、互いに連帯し、それぞれの経験や優良事例からインスピレーションを獲得する必要性を強調しました。今回の第7回会議はこの協力関係の成果です。この機会はイノベーション及び新しい協力関係の創造と取組みも可能とするものであります。

皆様と間もなくお会いできることを心待ちにしています。
親愛の気持ちを込めて、

ソフィ・ジョワサン

エクサンプロヴァンス市長

エクスを発見する

プログラム

エクサンプロヴァンスの街中で昼食会

到着後、都市の歴史が感じられる街中のブラッスリーで昼食会

歴史遺産を徒歩で視察

観光案内所の公式なガイドが計画した観光ルートを通じて、エクサンプロヴァンスの歴史と魅力を発見しましょう。

夕食会

プロヴァンスの味を試して、眩しい文化的な場所でガストロノミーとワイン学を体験します。

経済視察

フランスで最も環境を優先するテクノポリス~イノベーションに焦点を当てた視察

昼食会・プロヴァンス体験ワークショップ・日本庭園と能舞台 視察

昼食会とプロヴァンスというテーマを巡るワークショップ。その後、日本庭園と能舞台を視察し、プロヴァンス活動が行います。

第7回日仏自治体交流会議開会式と夕食会

プロヴァンス大劇場で第7回日仏自治体交流会議の開会式

コングレスセンター開館

参加者歓迎と登録。コーヒーなどを召し上がる。

市長ラウンドテーブル

過去の日仏会議開催都市の首長により、イノベーションと持続可能な開発について、政策的な視点による発表と意見交換が行われます。(コングレスセンター)

イノベーションを巡るラウンドテーブル

有識者介入(コングレスセンター)

昼食会

コングレスセンターの周囲で昼食会

分科会

三つの分科会の中で一つの分科会に参加してください。
‐「どのような持続可能な経済モデルを目指すべきか?」
‐「全ての人が尊重される成熟社会」
‐「環境の当事者としての地方自治体」

夕食会

高級ホテルで夕食会

コングレスセンター開館

参加者歓迎。コーヒーなどを召し上がる。

全体会・分科会報告(コングレスセンター)

閉会式

閉会挨拶、最終宣言と第8回日仏自治体交流会議の開催地発表

記者会見

昼食会

コングレスセンターでビュッフェ

最終宣言

2022年10月3日から6日までエクサンプロヴァンス市(フランス)で開催された第7回日 仏自治体交流会議に参加した日本側14自治体とフランス側22自治体は、以下の「エ クサンプロヴァンス宣言」を採択した。

日仏自治体交流会議は、2008年に第1回目の会議をナンシー市で開催して以来、2010年金沢、2012年シャルトル、2014年高松、2016年トゥール及び2018年熊本各市において開催され、いずれも大きな成功を収めている。第7回会議は、歴史的建造物、創造力及び技術革新の調和したセザンヌの街、エクサンプロヴァンス市で開催された。

2013年から日仏両国が紡ぐ「特別なパートナーシップ」は、2019年6月のG20大阪サミット前に採択された日仏協力のロードマップ(2019~2023年)の枠組みへと引き継がれている。このパートナーシップには、二国間協力関係の強化に寄与するものとして、日仏自治体交流会議などの枠組みを通じた自治体間協力を推進することが含まれている。また日本とフランスは、自由・民主主義・法の支配・人権などの価値観のほか、例えば気候変動対策や人的交流の充実などの取組も共有する。

参加自治体は、公共政策の実施においては繁栄、持続可能性及び包摂性が考慮されるべきであることを認識しており、今回の日仏自治体交流会議を「17の持続可能な開発目標(SDGs)」に組み込むこととした。SDGsは、我々が直面する世界的な課題、特に貧困・健康・不平等・繁栄・環境破壊・気候変動・平和・正義に関する問題に対応するために、2030年までに達成すべき目標として国連加盟国に定義されたものである。

このSDGsの17 の目標は、多様な関係者のパートナーシップを構築し、強化するための共通言語を提供し、行政機関におけるより統合的で横断的な取組を導くものである。また、日本及びフランスを含む国際レベルのパートーナー間で経験を分かち合うための共通の枠組みを提供する。

今般、我々が経験した世界的なパンデミックは、共に手を携えてこのSDGs を達成していくことの必要性を思い起こさせるものであった。今回の危機は、単なる公衆衛生上の問題だけではなく、我々の社会の基盤を揺るがすものでもあった。この危機は、持続可能かつ包摂的な発展に必要となる社会、環境、経済の3つの側面のつながりとともに、トレードオフの関係も浮き彫りにした。

しかしながら、この危機は同時に、SDGsの取組推進によってもたらされる活力を加速させる機会でもあり、技術、組織、社会に必要な変化を起こす触媒ともなり得る。このような文脈においては、地方自治体をこの社会的変革の主たる当事者として位置づけ直すことが最も重要であろう。地方自治体は、革新的な地方公共政策の決定及び実施を通じて社会変革プロセスの中核を担っている。

イノベーションは、地域の発展や危機を乗り越えるための原動力である。それは、環境や社会的な課題、そして我々がみな直面する将来への責任に立ち向かうためのひとつの鍵となり得るものである。

そのため、第7回日仏自治体交流会議のテーマは「ポストコロナの世界における包摂的で持続可能な地域のためのイノベーションの緊急性」と題された。

今回初めて、開催都市であるエクサンプロヴァンス市により、ラウンドテーブル形式による2つの会議の開催が提案された。

ラウンドテーブル1では、これまで日仏自治体交流会議を過去に開催した5都市であるナンシー市、金沢市、シャルトル市、トウール市及び熊本市の代表者が集まった。フランス都市連合(CUF)SDGs グループの会長が準備し、同連合事務局長が司会を務めたこの対話では、とりわけこの絶え間ない危機状態の中で、それぞれの地域におけるイノベーションと持続可能な発展がどのように結びつけられているのかについて、参加者による政策的なヴィジョンが共有された。

ラウンドテーブル2には、技術、組織、社会の3つを軸として有識者が集い、地域の課題解決に必要不可欠な新しい解決策が提案された。

数多くの日仏自治体間協力を通じて、我々は以下のサブテーマによる3つの分科会において多様な解決策を発表し、また比較対照することが可能となった。



1.どのような持続可能な経済モデルを目指すべきか?
新型コロナウィルス危機以降、生産の在り方の変革と見直しを迫られている社会においては、強靭性を高めつつ生産と消費のパターンを進化させることが最も重要である。それは、日仏自治体により共有される経験であるという認識の下、次のような結論を得た。

農業と生物多様性を通じた推進
- 生産様式及び消費様式の両面から、持続可能な食糧へすべての人がアクセスできるようにする。この理念の実現には、地域産品や地産地消を促進する、自治体、市民団体、事業者及び市民が連携した地域エコシステムが基盤となる。

- 教育、研修及び雇用創出の在り方を革新させつつ、生産、加工及び流通の全段階で、地域の新鮮な食品の価値を重視する持続可能な仕組みを構築するための事業を推進する。

- 荒地の再利用や都市農地の開発による都市農業の変革を推進する。

- 人口の高齢化や担い手不足といった地域課題の解決に向けて、官民の多様な主体が連携し、新しい技術を活用したスマート農業への転換を推進する。

持続可能な資源及び経済を通じた推進
- 循環型経済の実現に向けて、プラスチックなどの資源の循環利用を推進する。

- 観光需要の増大などの経済活動の変化による地域への影響に対応するため、市民生活と経済活動が調和するまちづくりを推進する。



社会的連帯経済の発展
- 特に観光分野においては、イベントの構成やすべての人へのアクセシビリティにおいて、より持続可能な新しい手法で企業の社会的責任(CSR)を推進する。

2.すべての人が尊重される成熟社会

人口の多くが都市圏に生活している状況の中、包摂的かつ共生のための政策を構築することが求められている。また、全ての日仏自治体により実施される人々の連帯に関する政策においては、人々の構成の差異が考慮されなければならない。
したがって、次のような結論を得た。

共生社会の実現
- 住民が抱えるあらゆる課題に自治体及び関係機関が包括的に対応できる仕組みを構築し推進するために、地域及び国際レベルで協働・連携する。

- 全ての人にとってのより良い社会統合となるよう、公共の場へのアクセシビリティや無料イベントを推進する。

- 異文化体験や相互交流を通じて若い世代が多様な価値観に触れる機会を確保し、未来を担う世代の国際感覚の醸成を推進する。

- 特に学校において、オンライン交流や手紙交換を通じた世界とのつながりやきっかけを提供できるよう努める。

心身の健康及び高齢者の社会参加
- 誰もが健康と心の充足を感じられる社会の実現に向けて、関係機関と連携し、心身の健康増進のための地域資源の活用を推進する。
- 健康、安全、自立、住居、パーソナル・サービス、レジャー、スポーツ、交通、食品など健康につながるすべての分野に対し、働きかける。
- 認知機能及び世代間のつながりを維持するため、高齢者の社会参加を推進する。
- 高齢者の孤立を阻止するため、特に在宅ボランティアや在宅介護職員の力を活用する。

3. 環境の当事者としての地方自治体
地方自治体は、気候変動に対する啓発や行動を行うのに適した主体であり、研究開発、新しい計画モデルの推進、官民パートナーシップに基づく革新的・実験的プロジェクトの先導、地域経済の支援及び意識向上のための普及啓発を行うことができる。
これらを踏まえ、次のような結論を得た。

モビリティと輸送を進化させる
- 脱汚染、脱炭素、高齢化や災害対応といった地域課題の解決に寄与できるよう、移動や輸送の態勢を見直す。
- 大型・小型を問わずあらゆるタイプのモビリティにおいて、水素などのエネルギー開発と利用を地域レベルで推進する。本分野の企業とのパートナーシップを確立することが必要であり、それによって個人レベルの援助や公的投資の仕組みが促進され得る。

持続可能な方法で天然資源を管理する
- クリーンエネルギーの利用・開発を推進する。
- 次世代へ継承するため、共通財産である水資源を保護する。住民、事業者、公的機関、有識者などの関係者が連携し、学術的知見を活かした水質保全や海の環境を守るための対策を行う。
- 都市化政策において、大気質の改善及び都市のヒートアイランド対策を推進するために植樹された適切な種の樹木を公共資産として考慮する。この取組は、欧州及び世界レベルで発信され得るものである。

これからの居住環境のために行動する
- 公共建築物のエネルギー改善のために、太陽光発電などの脱炭素エネルギーを地域に導入する。グリーン廃棄物や海洋熱エネルギーを利用した地域熱供給を構築する。
- 多層的な手段による水害対策を行う。

結論

今回の議論を通じた参加自治体の決意を、以下のとおり表明する。

我々は、現在の国際状況を踏まえ、各自治体が学び合い、触発し合うことがそれぞれの地域における施策のイノベーションに有用であることを認識し、以下の取組を推進することで合意した。

1. 各自治体は持続可能で包摂的な地域公共サービスを提供するため、具体的施策・取組の実践と向上に努めるとともに、今後も新たな知見の充実や取組の開発に励む。

2. 各自治体は交流相手であるか否かに関わらず、日仏の都市間交流・連携を推進する。

3. 各自治体はパートナーシップを支援し、本会議への参加自治体の拡大に努め、他の国とも共有・適用できるような政策連携等を生み出すことを目指す。

日仏の地域政策の決定及び実施に係る知見交換のためのプラットフォームである、日仏自治体交流会議の創設以来の成功を踏まえ、

エクサンプロヴァンス市において開催された第7回会議が、国際的な文脈において共有され、なくてはならない考察に寄与したことを踏まえ、

我々は、2024年に静岡市(日本)で第8回日仏自治体交流会議を開催し、再会することを誓うものである。

分科会報告

分科会 1:「どのような持続可能な経済モデルを目指すべきか?」

分科会 2:「全ての人が尊重される成熟社会」

分科会 3:「環境問題の当事者としての地方自治体」

エクサンプロヴァンス市主催イベント

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